介護現場では、高齢者の心を癒やすことも大切です。
というのも、人は介護を受ける立場になると、社会的な地位や過去の経験などが何も役に立たなくなります。
その結果、心の拠り所を失った感覚に陥る人が多く、精神的に不安定になりがちだと言われています。

そこで注目されているのが、心を癒やすセラピーです。
しかし、実際は介護の現場は人手不足が深刻で、食事や入浴など日常の世話をするだけでも手一杯なのが現状です。
一人ひとりの悩みを理解して、解消するための手助けをするところまで手が回らないというのが現場の正直な声でしょう。

それを踏まえた上で、心強い救世主となるのが、ロボットです。
声や音楽に反応して動く可愛らしいロボットは、高齢者を癒やす存在であり、ロボットセラピーとしてさまざまな現場で取り入れられています。

以前から動物を利用したアニマルセラピーというものはありましたが、動物は人によって好き嫌いがあるという難点があります。
その点、ロボットセラピーであれば、動物が苦手な人でも安心して触れるだけでなく、感染症や怪我の心配もありません。

さらに、ロボットは生き物ではないため、故障はあっても死ぬことはありません。
触れ合う高齢者たちに悲しい思いをさせることがない点もロボットセラピーの魅力だといえます。
人手不足で悩む介護現場であれば、人が対応せずとも心を癒やしてくれるロボットセラピーを導入するメリットは十分にあるでしょう。

しかし、機械ゆえのデメリットもあります。
それは、動物特有の温もりが無く、高齢者の感情を完全に読み解くことができないという点です。

そういうことが気になる人であれば、癒やしを与えることは難しいでしょう。
すべての高齢者の心をしっかりケアしたいのなら、人に応じてセラピーを使い分けてみてもいいかもしれません。